
ハイブリッドインバーターとは
電力会社(商用電源)と太陽光パネルで発電した電力(PV電源)とを自動で切り替え、蓄電池への充電、蓄電池からの放電、商用電源を直接分電盤へ送電(バイパス)も自動で制御する機器です
入力、出力する電力の大きさによって製品のラインナップがあります
一般家庭用では、最小で30Aブレーカーのお宅なら3kW、50Aブレーカーのお宅なら5kW、60Aのご家庭なら8kWを選ぶことができます
もっと大きい機種もありますが、一般家庭ではオーバースペックかと思います
ハイブリッドインバーターの動作設定
弊社が使用しているリョクエンのもので説明します
出力モードの選択肢
1、PV優先(SOL): 太陽光発電を最大限に利用し、電化製品への供給を優先。PV不足時にはバッテリーが補助し、PV失効時には商用電源に切り替え、商用電源失効時にはバッテリーを消耗。
2、AC優先(UTI): 商用電源を優先使用し、商用電源失効時にはPV出力に切り替え。PV不足時にはバッテリーが補助し、PV、商用電源共に失効時にはバッテリーを消耗。
3、BAT優先(SBU): PV優先使用で、不足時にはバッテリーが補助。PV失効時にはバッテリーに切り替え、バッテリー電圧が一定値未満なら商用電源に、一定値以上なら負荷をバッテリーに切り替え。
リョクエンホームページより
一般的な使用方法では、選択肢はPV優先またはBAT優先だと思います
PV優先の問題点
太陽光発電が少しでも始まると、バッテリーも連動します
太陽光発電が足りないとバッテリーからの放電で補い、家の中で消費している電力全てを賄います
太陽光発電が停止するとバッテリーからの放電も停止し、商用電源に自動で切り替わります
この時にバッテリーには電力が余っている状態なので、本来はこの電力を有効に使いたいところです
この時、夕方の太陽光発電が停止した時のSOC(バッテリーチャージの%)の値が設定値以上であれば、指定した時間帯はバッテリーからの放電ができる設定項目があるので、テストして使える設定数値を考えてみたいと思います
BAT優先の問題点
太陽光発電をしていようが止まっていようが、バッテリーは動作します(一定電圧があれば)
太陽光発電が充分なら家中の電力を太陽光発電で賄うことができます
しかし、バッテリーが一定電圧より(設定によります)低下している場合は、バッテリーへ優先的に充電する仕様のようです
日の出後、太陽光発電を開始した時点からこういう動作をします
午前中、快晴で充分な太陽光があるのに、全てバッテリーへ充電するために使われて、家の中は商用電源(電力会社からの買電)が使われているという状況です
午前中はひたすらバッテリーを充電しています
気持ちとしては、太陽光で家中の電力を供給して、残りをバッテリー充電に使いたいのですが
この辺りは、設置するご家庭、個人の考え方によって細かく設定できるはずですので、自分に合った設定と運用方法を見つけたいと思います
今のままでは、バッテリーが満充電になった時点で、初めて商用電源が切れて、太陽光発電が家中に出力されます
午後になってしまうこともありました
建物の配置関係で、8:00~14:00がしっかりと太陽光がパネルに当たり、それ以降は日陰になります
バッテリーが満充電になるまでの数時間は、太陽光が充分でも商用電源を使用して家電を使っているというもったいない状態になりました
双方の問題点の解決と設定方法
PV優先を選択する方が無難だと考えます
太陽光発電が停止した以降の時間で、バッテリーからの電力を使う時間帯を個別に設定することで、バッテリーに溜まっている電力を無駄にすることなく使うことができそうです
しかし、その設定が上手く行かず、とりあえずバッテリー優先モードでの運用にしています
その方が溜まったバッテリーを使えるので、結果的に買取り電力量は抑えられています
バッテリーの電圧とハイブリッドインバーターの設定について
弊社は、リョクエンのハイブリッドインバーター、Litimeのバッテリーを使用して動作テストをしています
Litimeの公式ホームページに、バッテリー残量と電圧の関係が分かるチャート表が掲載さらていますので、そちらを参考にしてハイブリッドインバーターの各種項目の設定を行います
公式ホームページに掲載されているいくつかの数値の紹介します
電圧の後ろのカッコ内は、ハイブリッドインバーターの設定項目です
〇充電電圧56.8~58.4V(設定7)
〇バルク電圧58.4V(設定9)
〇フロート電圧54.0V(設定11)
〇均等化電圧57.6V(設定17)
〇100%充電電圧53.32V以上(※設定5,35,37)
〇0%完全放電時電圧40~48V(設定15、私はLitimeの取説通りに43.2Vにしました)
※の説明
設定9は、充電時のSOC100%判定基準
設定37は、放電時のSOC100%判定基準
出典 趣味のお部屋
設定15の電圧に関係する他項目
デフォルトの電圧設定が、14>4>12>15となっているため、その大小関係を崩さず設定した方が良いと考えました
〇リョクエンハイブリッドインバーター電圧設定のルール(取説記載の初期値より)その他の項目も同様に大小関係を調整します
58.4v※1(設定9)>54.0v※2(設定11)>53.2(設定5)>52.8(設定37)>50.0v※3(設定35)>45.2v(設定14)>45.2v(設定4)>45.2v(設定12)>43.2v(設定15)
※1:設定9のバルク電圧は、Litime公式ホームページでは58.4vとあるのでその通りに設定しました
※2:設定11フロート電圧値も公式ホームページ通りの値で設定できました
とりあえず、この設定で動作テストしてみます
充電状況をモニタリングしていると、100Aを超えた充電では電圧は、54.8Vが最高値です
58.4Vのうち54.8Vは93%になりますので、SOC100%の表示にはならないということになりそうですが、SOC70%くらいから突然SOC100%になります
この時の充電量は108Aです
ちなみに、SOCは「State Of Charge」の略で、充電率または充電状態を表す指標であり、満充電状態を100%、完全放電状態を0%と定義されています
バッテリースペックでは、100Ahですので、8%のロスがあるということでしょうか
この54.8Vを設定9の値にすれば、充電時のSOC値の推移が比較的正しくなるのではないかと考えています
〇テスト
設定5と設定37を満充電値54.8Vに設定できるか?
※3:設定35の50.0Vは、この値よりも電圧が高い場合、夜間もバッテリーから電力を供給するしきい値として設定しています(低電圧保護からの復帰)
これで、PV優先設定で、夜間も太陽光発電から引き続きバッテリーからの放電ができるようにしたいです
0.4刻みで電圧の設定画できます
Litime社とのやりとり
令和6年10月、Litimeからメールをいただいたことがあります
カートに商品が入ったままだけど、何かお困りですか?というような趣旨でした
資金面での折り合いがつかず、購入を考えている時でした
能登半島で起業準備中であること、自宅を修繕しながら復興工事で太陽光発電と蓄電池を活用したオフグリッドシステムを構築中であること、そのシステムを起業後は能登半島で普及したいと考えていること等、メールで送りました
今後、必要があればLitime社として、何かしらの協力を申し出てくださいました
大変ありがたく恐縮です
サポートをいただきながら、能登半島で暮らし続けるための仕組みの1つを作り上げたいと考えています